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元気なのに犬が軟便・下痢になるのはなぜ?

  • 13 時間前
  • 読了時間: 9分

「元気にお散歩しているのに、2回目、3回目のウンチがゆるい……」

「ドッグランで思いっきり走ったあと、いつも軟便や下痢っぽくなるのはなぜ?」

愛犬のウンチの状態がいつもと違うと、飼い主としては心配になりますよね。

「昨日食べたごはんやサプリメントが合わなかったのかな?」と、食事内容ばかりを気にしてしまう方も多いのではないでしょうか。


実は、犬の便の状態は食事内容だけで決まるものではありません。

お散歩のタイミング、その日の運動量、気温の変化、台風による気圧の変動、さらには目に見えない寄生虫のリスクなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。



1. お散歩中やドッグラン後の軟便は「ふつうのこと」?

お散歩の最初に出たウンチは硬くて良い状態だったのに、しばらく歩いた後の「2回目便」「3回目便」、あるいはドッグランで走り回った後の「運動あと便」が柔らかくなることがあります。

結論から言うと、元気や食欲があり、お家に帰ってから便の状態が落ち着くようであれば、これは多くの犬に見られる「生理的な反応」であり、すぐに病気と判断する必要はありません。



腸の「ぜん動運動」と運動量の関係

犬の腸は、食べたものを先へと運ぶために、リズミカルに収縮を繰り返しています。

これを「腸のぜん動運動」と呼びます。

お散歩や遊びなどで身体を動かす活動は、この腸の動きを刺激する大切なスイッチです。

1日2回、1回数分程度の軽い歩行や遊びを行うだけでも、腸の動きが促され、排便リズムが整う(便秘の予防になる)ことが分かっています。

しかし、運動量がいつもより多かったり、長めのお散歩をしたりすると、腸が継続的に強く刺激されることになります。

すると、便が腸内にとどまる時間が短くなり、水分が十分に吸収されないまま「未完成の便」として排出されてしまうのです。

これが、2回目、3回目の便が柔らかくなる仕組みです。



興奮やストレスが自律神経に与える影響

ドッグランで興奮して走り回ったり、激しく吠えたり、あるいはお留守番や移動などでワンちゃんに精神的なストレス(緊張)がかかったりしたときも、便はゆるくなりやすくなります。

興奮やストレスは自律神経のバランスを変化させ、腸を「出す方向」へと強く働かせます。さらに、全力疾走やジャンプによる腹部への物理的な刺激が加わることで、腸の動きが一気に活発化し、水分の多い軟便が出やすくなるのです。

これは、人間が緊張したときにお腹を壊してしまう仕組みと非常によく似ています。



2. 台風の気圧変化や「季節の変わり目」が犬の胃腸にアドバイスをくれる

「2回目、3回目の便がゆるくなるのは生理現象」とお伝えしましたが、ここ数日や特定の季節にだけ、妙に下痢や軟便の子が増えることがあります。

その大きな原因が、台風に代表される「気圧の急激な変化」と「季節の変わり目の寒暖差」です。



気圧の低下と自律神経の乱れ

台風や梅雨に入り気圧がグッと下がると、犬の体内では自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れやすくなります。

自律神経は胃腸の働きをコントロールしているため、このバランスが崩れると腸が過敏に反応し、突然の下痢や軟便を引き起こすのです。



「寒さ」による血流の変化

寒い日や雨の日に長時間外にいることも、便の状態に大きく影響します。

身体が冷えると、犬は体温を守るために血管を収縮させ、血流の配分を変化させます。

その影響で内臓への血流が一時的に滞り、腸の機能が低下してウンチがゆるくなってしまうのです。この季節性の軟便は、特にお腹の冷えやすい小型犬やシニア犬、寒さが苦手な犬種において顕著に現れやすい傾向があります。



3. 理想的なウンチの基準とは?

愛犬の便の状態を正しく把握するために、ここで一度「理想的なウンチの硬さ」をおさらいしておきましょう。一般的に「コロコロとした硬いウンチ」が良い状態だと思われがちですが、実はそこに盲点があります。


理想の硬さは「歯磨き粉」くらい

犬の健康的な便の基準は以下の通りです。

  • 理想的な便: 歯磨き粉のペーストくらいの硬さ。ペットシーツやアスファルトから拾おうとしたときに、うっすら跡がつく程度であれば、まったく問題ありません。

  • 硬すぎる便: コロコロ、カサカサしたウサギのような便。一見お掃除は楽ですが、実は「水分不足」「油分不足」「食物繊維不足」のサインです。

  • 軟便・下痢: 形が崩れて拾えない、あるいは水っぽく泥状のもの。

ウンチがコロコロと硬すぎる場合は、ごはんの水分量を調整してあげたほうが良いでしょう。お散歩中の2回目・3回目の軟便に過度な神経質になる必要はありませんが、日頃の「基準となるウンチ」がどうであるかを観察することが大切です。



4. 元気なのに犬の軟便・下痢が長引くときに考えられる隠れた原因

「元気も食欲もあるから大丈夫だろう」と様子を見ていても、すっきりしない軟便や、一度おさまってもまたすぐに便が安定しなくなる状態が何日も長引く場合は注意が必要です。

あまり長い間軟便を続けていると、腸管の粘膜が慢性的な炎症を起こしてしまうリスクがあるからです。

このような「長引く不調」の背景には、以下のような原因が隠れていることがあります。



見落とされやすい「寄生虫」のリスク

長引く軟便の原因として、絶対に忘れてはならないのが「寄生虫」や「細菌」の感染です。

特にジアルジアなどの寄生虫は、便の状態が良い日もあれば悪い日もあり、一般的な顕微鏡の検便検査(糞便浮遊検査など)では、そのタイミングによって検出されないことが少なくありません。

寄生虫の排出には波があるため、原因を突き止めるには「日を変えて複数回の検査を行うこと」が大切です。

また、通常の便検査で分からなかった場合でも、動物病院で追加の「抗原検査」や「PCR検査」を併用することで、ジアルジアやコクシジウム、キャンピロバクターなどの病原体を高精度に特定できます。



寄生虫はどこにでもいる!過度に怖がらなくて大丈夫

「寄生虫」と聞くと驚いてしまいますが、過度な不安を抱く必要はありません。

公園、ドッグラン、高速道路のサービスエリア、都会の散歩道など、私たちが暮らす環境のいたるところに寄生虫と接触するリスクは潜んでいます。どれだけ気をつけて生活していても、野良猫やネズミ、野鳥の排泄物を完全に避けることは不可能です。


実は、健康な犬であっても体内に寄生虫を保有しているケースは珍しくありません。

腸内環境のバランスが保たれていれば症状は出ず、正常なウンチをして元気に過ごしています。

しかし、前述した「台風の気圧変化」や「季節の変わり目の寒さ」などが引き金となって免疫力が低下したときに、バランスが崩れて下痢や軟便として表面化するのです。


大切なのは、寄生虫を恐れることではなく、「必要なときに適切な検査で見つけ、正しく駆虫してあげること」です。



食事不耐性や予防薬の影響

特定の原材料が身体に合わない「食事不耐性」や、慢性腸炎などの消化器疾患が隠れているケースもあります。また、混合ワクチン、フィラリア予防薬、ノミ・ダニ駆除薬などを投与したあとに、一過性で軟便になるワンちゃんもいます。



5. 軟便・下痢の時期こそ見直したい!お家での食事管理と「腸活」

愛犬の便が安定しない時期や、台風・季節の変わり目でお腹がデリケートになっているときは、お家での優しいケアとお腹のベース作りが欠かせません。


① 脂質を控えて腸を休める

お腹の調子が不安定な時期は、消化器官に負担をかけない食生活を心がけましょう。

脂質の高いドライフードやおやつ、フリーズドライ製品、お肉のトッピングなどは、弱った腸にとって消化の大きな負担になります。

一時的に脂質を控えめにし、適度な食物繊維を取り入れられる食事に見直してあげてください。


② シンプルな食事療法食や本葛などの活用

季節性の軟便や一時的な消化不良の際には、腸管ケア用の療法食(例:『テラカニス』のインテスティナル缶詰や、『Happy dog』のインテスティナル缶詰など)を取り入れ、ごくシンプルなメニューを数日間続けてあげるのが効果的です。

また、古くから親しまれている「本葛(ほんくず)」を水で溶いて加熱し、とろみをつけたスープを与えるのも、お腹の粘膜を優しく保護し、水分補給になるためおすすめです。


③ 日頃からの「腸活」を継続する

プロバイオティクスなどの腸活は、お腹のトラブルが起きているときこそ、ベース作りのために重要です。


腸活はいかなる場合でも、細く長く継続してあげましょう。

日頃から腸内環境の善玉菌バランスを整えておくことで、台風による気圧の変化や、季節の変わり目のストレスに負けない「クッション性の高い強いお腹」を育てることができます。


⚠️ お薬(下痢止め・抗菌薬)についての注意点

動物病院でジアルジア症などの治療としてよく処方される抗菌薬「メトロニダゾール(商品名:フラジールなど)」は非常に有用な薬ですが、「軟便だから」と自己判断で漫然と長期間飲ませ続けるのは注意が必要です。

投与量や期間によっては、まれに眼振(目が左右に揺れる)、身体のふらつきなどの神経症状といった副作用が現れることがあります。

近年は腸内細菌叢(フローラ)への悪影響や薬剤耐性菌の問題も考慮されるため、「とりあえず薬を飲み続ける」のではなく、しっかり検査をして原因に合わせた適切な期間の使用が重視されています。


6. まとめ:こんな症状はすぐに動物病院へ!

犬の便は、言葉を話せない愛犬が私たちに体調を教えてくれる、もっとも分かりやすい「お便り(サイン)」です。

お散歩中の「2回目便」のような一時的な変化であれば様子を見て構いませんが、もし以下のような症状が伴う場合は、自己判断をせず速やかに動物病院を受診してください。

  • 毎回(お散歩の1回目から)下痢状の便が出る

  • 便に血(血便)や、ゼリー状の粘液(粘液便)が混じる

  • 軟便・下痢だけでなく、嘔吐(おうと)を伴う

  • いつもより元気がない、ぐったりしている、食欲が落ちている

「元気だからそのうち治るだろう」と過信せず、すっきりしない軟便が長引くときは、一度しっかりとした検便検査を受けて原因を調べてあげましょう。大きな病気ではないことを確認する意味でも、検査はとても大切です。

原因さえ分かれば、食事の管理や適切な治療によって、愛犬のウンチは必ず健やかな状態へと改善していきます。

日頃から愛犬のウンチの硬さや回数をしっかりと観察し、愛犬の「お腹の声」に寄り添った健康管理を続けていきましょう。愛犬に合ったフード選びや日々の腸活についてお悩みの際は、ご相談ください。


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